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[ブックレビュー]ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川

旅をするといっても、いろいろな形がありますよね。たとえば、世界遺産めぐり、登山、バックパッカー、川下り。川下り??!

そう。本日の本紹介ではアメリカ留学中に家を失い、現金10万円と3千円のテントでミシシッピ川をカヤックで漕いた女性旅人が著者の本紹介です。

まずはこの本の魅力をダイジェストにお伝えします。

ダイジェスト

  • 女の子が宿なしテント暮らしをする
  • アメリカの川を一人でカヤックで漕ぐ
  • 川を下るという経験を通して出会う人々の魅力
  • 一般社会に生きているとやりにくい「旅」の素晴らしさ

女の子が宿なしテント暮らしをする

みなさんキャンプはお好きですか??デイキャンとか色々なキャンプの楽しみ方が流行っていますよね。キャンプは趣味や遊びといったように娯楽として人気があります。だからキャンプが終わったら家に帰って暖かい布団に入って、明日から1週間過酷な労働が待っているのかぁって項垂れるのが一般的ですよね。(笑)

この本の著者ジョアナさんのキャンプは「帰る場所がない」という前提でカヤックを漕ぎキャンプ生活をしています。なんといっても宿がないというのは生活の基盤がないのと等しい。。ですが、生活の基盤ってなんしょうか。

当たり前に普段あるものが急になくなったら不便に感じます。けれど、ないと踏み切って生活してみたら??家無しキャンプ生活はそんな常識から客観的に普段の生活を見つめ直してみることができる。。いやぁ。知っててもできないなぁ〜。(笑)

そして何と言ってもこの本の著者は女の子です。やはり男性が宿なしでキャンプするのとはわけが違います。こういった女の子ならではの苦労も本の中から垣間見えるのにも関わらず、なぜか前向きに積極的に全てを取り込んでいく姿も感じられます。

「ポジティブ足りない!」って流行ってますけど、本当にポジティブが必要な時はどん底を経験して初めて必要になるものです。だからこそ、「ポジティブ足りないなぁ」って思っている人はこの本からたくさんのことが学べるような気がします。

アメリカの川を一人でカヤックで漕ぐ

そもそもカヤックで異国の土地で川を渡るなんて怖いですよね。アメリカの川といえば、ピラニアとかワニとかそこら中にいるイメージですし。ですが、この本を読んで感じたことは「知識」と「行動力」これが旅をする上でとても大事だということです。

生物学を専攻していた彼女はアリゲーターとクロコダイルの違いなど、旅をする上で大事な知識の持ち主でした。しかしただ知識があるだけでは、知ってて終わりになってしまいます。

本の中では、彼女のひたむきな情報収集そして、一歩踏み出してみる勇気。そんなものが感じられます。それは旅をする上でとても重要な要素です。旅に行きたいなと思っている人は川を下る以外の旅でも勉強になります。

川を下るという経験を通して出会う人々の魅力

「旅をしているといろんな人に出会う」「そして別れもある」文中にこのような言葉がありました。この本はまるで自分が旅をしているかのような錯覚に陥るくらいストーリーになっていて、そんな出会い、別れを感じることができます。

70億人いるこの世界で実際出会えるのはわずか30000人というネット記事を読んだことがあります。出会える数を増やすことは現代を生きている人には難しいですが、それを体験することはできます。著者が出会ってきた人や経験が詰め込まれたこの本は、著者のように旅に行きたい!という人だけでなく、旅なんて一生行かないわ。という人までリアルに体感することができます。


やりにくい「旅」の素晴らしさ

「はじめに」でこんな一文があります。

「人生における大切な選択をしたその先にどんな社会的意義があるのか、若者は常に問われ、それに対する明確な答えがない者は出来損ないみたいな、そんな目に見えない社会の圧力を感じることがあります。」(佐藤ジョアナ玲子『ホームレス女子大生川を下る in ミシシッピ川』p2)

高校になぜ入るのか?なぜ1日の大半を勉強に費やしてそれほど興味のない専攻の大学に入学するのか?なぜ興味のない仕事に就職先し、一生懸命働くのか?

それは著者が言うように、そうしないと生きていきにくい社会だからではないでしょうか。この社会でリスクを回避してく方法は周りを見ると明確に分かります。みんなに合わせることです。でも、リスクを避けるだけの人生に飽き飽きしている人も多いのではないでしょうか。

旅というのもアクシデントとともにあるものです。お金がなくなったり、パスポートを無くしたり、詐欺にあったり、、著者も旅の途中に移動手段のカヤックが壊れたりしたそうです。人はお金がないと生きていけません。その通りです。お金というのは生きて行く上でとても大事なツールなので。

しかし、それだけではないということを教えてくれるのがこの本です。「死ななければ、あとでどうにでも立て直せる」という著者の行動は誰にでもできることではないからこそ、読んでいる人に勇気と力を与えてくれます。

何かに全振りすることはこの社会で生きて行く上でリスクになります。好きなことだけでは満たされた生活をできる人間は限られていますので。しかし、彼女はリスクを顧みず「旅」に全てを投げうり、今を全力で生きている姿がこの本からひしひしと感じられます。

何かに全振りすることはととも勇気のいることで誰にでもできることではありません。でも、何かに全振りしている人を参考に、実生活に取り入れて行くことは誰しもが可能性を持っていることだと思います。

この本は決して「旅に行くこと」を推薦している本ではないと思います。もちろんこの本を読んで旅に出たいなって思う人もいるでしょうし、実生活に取り入れてみようと思う人もいるでしょうし、すごいなぁって思う人もいるでしょうし。。

色々な感想があると思いますが、決してこんなド派手な経験を誰しもができるわけがないし、「川を下るという経験を通して出会う人々の魅力」でもお話ししたように全ての人にとってリアルに体感できることがこの本の魅力です。普段の生活に関係のない人が多いカヤックやテント生活、出会いなど旅の素晴らしさを詰め込んだ本なので、ぜひみなさんも読んでみてください~!

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